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開発のきっかけ

または私は如何にして心配するのを止めてCMSを開発することにしたか

 もちろん開発作業自体については心配なんかしてません。時間の許す限り自由に(自己流で)やってきたので楽しい事この上なかったのですが、一応かりそめにも頭と尻尾がついたかなと思うところでそろそろ実践に向かうことを考えるべき時を迎えたと感じました。本当に心配なのはこれからです。
 さて、このシステムの開発の起こりは「やっぱ自社コンテンツマネジメントシステムは必須だよね?」って事でした。自分自身のデザイン能力って想像以上に期待はずれだし、何かウリが欲しいなと。その頃、地元の自治会でWebサイトが必要ではないかという話が出たのをきっかけに本格開発に踏み出してしまったのが、2005年の夏の事でした。(残念ながらその話は現在サスペンデッドになってしまいましたが)

求められる機能

社会で役立つ事を考えよう!

 もちろん既存のブログやSNSシステムを使用するという事も検討されたのですが、グループで管理しづらいことや、コンテンツの構造化がしづらい事、掲示板やスケジュールなどの機能が、あちこちのサービスの寄せ集めにならざるを得ない、となるとデザインの統一はかなり難しいなどの問題があります。それでもやればできなくも無いのかもしれないのですが、どうせ時間をかけるならシステムごと作っちゃった方が一石二鳥で、こちらも仕事として取り組めるじゃないかと、安易に開発をはじめてしまったのでした。(はじめは半年ぐらいで仕上がると思っていました。)

 さて、そんなこんなで始まったシステム開発でしたが、基本方針として以下の事を念頭に設計しました。
・無料で使えること。
・サイトをグループで管理でき、ユーザごとのアクセスレベルが設定可能なこと。
・平文だけでなく、いろいろな機能(少なくとも掲示板・会議室)が使えること。
・コンテンツが簡単にツリー構造化できること。
 ん?無料?その場合、私はどうやってサーバ維持すればいいのでしょうか。

このサービスの生きる道

広告にかわるやり方-広告が悪いわけではないけれど

 開発が始まって程なく(半年以上は経ってしまっていましたが)自治会サイト計画がサスペンデッドしてしまったのをいいことに、すっかりCMS(コンテンツマネジメントシステム)へ向かってしまったこのシステム開発でしたが、[冴えないCMS+営業]よりは[ちょっと気の利いたWebサービス]の方が将来性があるのではないかと。また、本業の仕事と責任が皆無ならそういう選択もありえたのですが、共倒れにならないためにはこちらの事業が時間とリスクを取るのは難しいし、Web製作会社等で働いたことのない私が営業チャンネルなんて持ってないし、片手間で営業してうまくいく程甘くはないだろうというのがあったのでした。

 さて、数多くある無料Webサービスで、現在もっとも成功している収益モデルといえば広告収入モデルなのでしょうか。広告代理店経由で広告を引き入れれば、ごくシンプルな契約で収入の道が開けます。しかしながら、このシステムの開発においては初めから、利用者からは広告が必ずしも歓迎されないだろうということ(公共性の高いサイトならなおさらの事)と、またそれ以上に、広告への華々しい期待と幻想の日々はいずれ色あせるかもしれないという不安も考慮する事にしていました。不景気のせいか、最近になって(2008年末辺りから?)そういった話題に接する事も多くなってきたように思います。(たとえば 『この先、しばらく道なりです』-有料サイトの苦境。近づく無料サイトの限界- とか 『novtan別館』-「広告収入で無償サービス」の時代はそろそろ終わりかな?- …話題にすっかり追いつかれてちょっと焦っているのがシステム公開の理由の一つでもある)こういう話は広告モデルに陰りが見えるまで、収入を期待する側としてはみんな言いたがらないだろうけど(萎むのが早くなるだけだから)、決して難しい話ではないと思います。(大げさな言い方をしましたが、実際のところ、インターネット媒体の広告費の総額は順調に増えているみたいなので、それほど悲観したものではないかも。ただ、wordsaladなんかで支払われた効果の薄いものも含まれているだろうし、広告費の受け取り手が分散していて一人頭の収入はそれほどでもなさそうに思えるのですが…。景況感の悪化で広告が減っているので小さなサービスでは難しくなっているのかも。景気が良くなるとまたそんなに心配は要らなくなるかもしれませんが。)もちろん過剰にお金が動いているなと思っただけで、モデルそのものを否定する気はさらさら無いですが、こちらももう若者じゃあないので、おまんまの食いあげは困ります。やはり、実際のサービスを提供して、またはサービスを中継して収益を得ることも考えた方がいいのかなと思ったのでした。

パーミッションビジネスの可能性

 はてさて、このシステムはもともと自治会やサークル向けシステムなので、多少凝ったアクセス制御を考える必要がありました。閲覧や編集ができる部分を役員やサークル等のメンバーごとに設定できるようにすることとか。(SNSのコミュニティにおそらく近いのだろうけど、小生、人望が無くてSNSにはちっとも呼んでもらえなかったので実際のところ良くわからんのですが。)サイトとしてのまとまりはどうつけるか?メンバーの匿名性(匿名のままコミュニティで雑談以上の話し合いをする事の難しさとか、逆に実名をネット上に晒すことへの不安)の問題や、IDと本人の実在の確認はともかくメンバー管理は最低限必要だろうし。

 一方で、才能ある個人がすばらしい作品を心意気で公開してくれているのに、なかなか収入を得る手段をもたないと言われつづけてきました。上記リンクの周辺(『この先、しばらく道なりです』-有料サービスが抱える課題 - 少額決済について-など)でも小額決済手段の無さが有料サイトの難しさに直結しているという指摘もされています。皆さんがアマゾン等のアフィリエイトや広告でそこそこ収入が得られているならいいのですが。(小生、不勉強であまり実態を知りません。)
 で、アクセス制御とかパーミッション取得方法をいろいろ考えてゆく過程で当然有料公開にも使えるわなと。アクセス権の販売の仲介ができないだろうか。利用者が追加できるアクセス権の枠(追加パーミッション)の代価としていくらか出してもらうことはできまいかと思い至りました。

 という訳で[デジタルコンテンツを提供して利益を得る利用者]と[コンテンツを購入する利用者]が[サーバ管理者]を支えてくれれば、余力でその他の[非営利サイトの運営者]が無料でシステムを利用する事は十分可能でないかと思ったのでした。
 実際のところ小額決済手段の決定的方法は未だに思いつかないのですが、とりあえずポイント制にして余分な決済手数料を抑えつつ、サーバ管理側で手数料を徴収するのが妥当だろうと思っています。また、ポイントは基本的にコンテンツ提供者側にかなり一方的に流れていくだろうから現金への払戻しは避けられない等、いろいろな手間も発生してしまうのですが。

システムの特徴

何にも考えなくても使える。考えても使える…が理想。

 何も考えなくてもそれなりに使えるようとは思いつつ、複雑になるのを恐れず、どうかなと思うものはとりあえずできるだけオプションパラメータにしています。おかげで随分わかりづらいでしょう。マニュアルは…やっぱ作らないとだめ?

 システムの特徴。スタイルシートで制御する自由なレイアウトを目指します。基本はバナータイトルと2~3カラムのレイアウト。ボックスを配置して、その機能を設定し、バナーやフッタ、リンクや普通の記事や日記、掲示板として機能させる方式です。このボックスは実際に保存されるデータの構成に変更や追加が生じない限り、ワリと簡単に新機能が追加できるように設計されているので、良いのを思いついたら適宜追加していきたいです。(スケジュールとか予約システムがすっかりスポイルされているんだった。とりあえずそれも含めて。)

 表示スタイルはページの編集時にテンプレート的なものを選択する他に、ユーザCSSとして各ページごとにも追加で設定できます。ユーザCSSはコンテンツとして登録しパス情報を入力する方法と、ページ編集時にテキストエリアから入力します。優先順位は[css入力]>[内部パス入力]>[スタイル選択]です。あまり独特なボックス構造にすると、スタイルも自分で用意しなくてはならないでしょう。(現在、表示スタイルが非常に少なくなっています。サイトを登録された方は是非とも、編集モード時に[その他の編集]から[新規CSSファイルの作成]を選択して新しいスタイルを作成・公開してください。[サイトマップに登録しない]を選択しない限り強制的にリストアップされてしまいますので、公開したくない人はご注意を。アクセス制限もかけられますので収入を得る手段としても利用できますよ。クラスやIDの仕様については当面ソースの表示から拾って各自アレしてくだされば助かりますんですが…申し訳なし)

 データはフォルダ構造のようでいて、そのものではないところがちょっとわかりづらいかも。ディレクトリトップ=ページで、ディレクトリ内の記事を読み出すのが基本的な形。多層の読み込みが可能なので、ディレクトリごとに章立てのまま文書を保存できます。そのときに章にあたるディレクトリごとにパーミッション設定を変えれば多様なアクセス設定ができるようになります。「単記事表示」とはテキスト記事等を単体で表示する時のための設定で、コメント機能を付けられる既存ブログシステム風の表示をしたいときに設定するよう想定されています。やりたければレイアウトをがらりと変えることもできます。

jpg等の画像ファイルの他、swfファイルがアップロードできるようにしました。フラッシュムービーも結構ですが、タイトルやアクセスカウンタのパラメータを渡せるようにしましたので、ヘッダやサイトマップにとても期待しています。危険があるようなら考え直しますが…。当面表示ネタは"flashVars"パラメータ渡しです。(ソース見てもらえば判るかも知れませんが)仕様は追ってお知らせします。そのうちシステムからxml出力モードも追加してフルフラッシュコントロールができないか検討(勉強)中です。テキストのhtml編集時に<object> <embed>タグで呼び出してもいいですがボックス機能から表示するのが基本的な考えです。(パラメータが渡せるので。)

 ところで、当面<script>タグは撥ねるようにしてあります。ということは大概の広告とかいろいろなブログパーツが使用できないってことです。いろいろ安心したら検討しなおします。

ちょっとしたオマケ的な…

(多少色気を出そうとした)

 ただのCMSでは皆様の興味を引かないと思うので、ちょっと考えてみました。

 アクセス権販売は当然商取引と考えるべきで、販売主は当然実名を公表する必要があると思います。しかしながら、多くのアマチュア作家までが実名や住所を晒さないといけないとなると、抵抗を感じる人が多いのではないかと思います。
 一方で、出版社や編集者が作品を育てる力に期待して、出版社が作品を作りにも絡めるようにした方が作品の質が上がる可能性があるのではないかと考えています。(業界についてははなはだ不勉強ですが。)
作品の質がある程度保証されるかもしれないので、買い手も安心できそうに思います。アマチュア作家が販売の代行を依頼するような同人誌専門店的なやり方もできると思います。
 また、良い具合にサイト数が増えて沢山の作品が発表されるようになれば(かくあれかし)、特に優れたものを紹介するサイトがきっと必要になるだろうしということで、パーミッションを多層化できるように考えました。
 売上分配の実際の処理としては、アクセス権の売上の数%とか一定のポイントを出版社経由で作家へ、自動的に振り分けられる設定が可能になっています。
多段になったパーミッションごとにこの設定が可能(な筈)なので、いわゆる版権モノの場合、一定の条件と約束を決めて、設定を行う事とすれば自動的に著作権料を徴収可能(な筈)です。
 ちなみに、サイト運営者はデータの移動無しに、パーミッションの設定のみで出版者サイトから作品を発表できるように考えてあります。要するに自分のサイトで発表していたものをパーミッションの設定の変更だけで出版者サイトにも表示させる事ができるということです。

 また、小説だけでなく小説中からセリフ部分を抜き取り、画像とあわせて表示する機能もつけてもみました。セリフは、今のところ全てユーザCSS入力で配置することになっているので、数が多いと位置あわせも入力も大変になりますが…。
 この機能を使用すると言語ごとのセリフの入れ替えが簡単なので、上記パーミッション設定をうまく使えば、翻訳がうまい人にも収入のチャンスがあるかも。(翻訳をする人は原作者の許可を得ましょう。収入を得る場合はパーミッションの設定は適正に行いましょう。)自動翻訳も多分できなくはないと思いますが、セリフは洗練された短い言葉なので主語とか述語がそろっていなかったり、複数の吹出しに分かれたりでうまく翻訳されないだろうと思われます。位置がずれないかどうかはやってみないと、です。
 こちらとしてもシステムをできるだけ早く多言語化して、世界規模で作品を発表してもらえるようがんばっていきたいです。

 そしてさらに、パーミッションと利益の分配の仕組みを応用+もう一工夫して、パーミッションへの登録者へ分配する仕組みも作りました。これで製作委員会方式的な資金調達方法が提供できるかも知れません。
(もちろん法律に照らし合わせる必要があります。匿名組合的なやり方になるのかな?)
 これはホラ、昔の作家が出版者からお金を借りて取材したりって言う話がヒントになっています。これによって、例えばヨット世界一周のための資金調達の足しにして、ブログや手記の収益の配当を行って還元できるかも知れません。もちろん信用とバックアップがあっての話ですが。
 この辺チェックが十分ではないので機能するかどうか自体、あんまり自信がないのですが、いずれ出資額を選択できたり、利用者間での売買もできるようにする事を検討しています。(これもいわゆる証券化?)

テストがてら、一般ユーザと同じ条件で使用例をテストサイトで公開しています。現在、内容に乏しいのですが、順次追加してゆきますので。

問題点等

心配の種…きっとこれがあるから誰も作らないのだろう、っていうこと。

 全体的にテストが行き届いた状態にはないので恐縮です。
 ただシステムとして、目指す機能が多少複雑であっても、また、現状で機能しない部分があっても、数値化さえできていれば、いずれ大概のことは機能させる事ができるでしょう。動画配信なんかだとデータ量とかハード面のリソースの問題が出てくるだろうけど、テキストベースではそこまでいかない筈だし。でも実際にこれらの収益機能を運用しようとすると、著作権の正しい取り扱いも含めて、結局は数値化不可能な、利用者間の信用頼みになってくるので、ちょっとしたミスとか、ズルでも何でもして儲けたい人とかを避けるのが難しくなってくることは容易に考えられます。手前共サーバ方は、細かい決め事を作るために法律家のようにならなくてはならないかもしれないし、システムとしても決まり事にそって運営できるように細かい条件分岐やサポートがなくてはならないのだろうと思っています。そういう意味では今のままでは実際の運用は難しいかもしれません。(でもとりあえず作ってもた。)

 具体的には、以下箇条書きで。
  • このサーバを利用したポイントのやり取りはれっきとした商取引の筈で、商法等を考慮する必要がある。(いろいろと面倒だけど原則的には弱者たる消費者が守られるために法はある…はず。)
  • 当面は不正な利用者が混ざらないために座とか株のような?免許or認可制限を設けるべきか?
  • 実際のところ決済関係は他のサービスに任せたい。でも現状、普通にやると手数料がかかりすぎることになりそう。
  • 利用者のポイント管理をこちらでやる事の利点は、預かっているポイントを担保としてある程度不正を防止できる可能性があることだと思う。不正がばれたらポイント召し上げみたいなやり方で。実際に運営する事になったら、取り逃げを許さないためにも即日払戻しとかは諦めてもらうよりない。翌月末払いとかになっても決して単純に払い渋っている訳ではないので、ご理解いただきたく。
  • アダルトコンテンツを抑制するか。非営利サイトが公的なものであればあるほどアダルトコンテンツと競合してしまうかも。ドメインや、もしかすると会員登録レベルからサイトを分けるとかする必要があるかも。

今後の展開

(あんまりにも考えていないので心配です)

 これまではお金がかからない方法で、一人でチマチマやってきましたが、サービスは提供してこそです。システムの完成度は言うまでもなく、サービスの安定やセキュリティを鑑みるに、現在のやり方では全く埒が明かない話だし、動かす前に時代遅れになっては困るので、早いとこ何人かのチームで運用レベルまで詰めていきたいと思っています。(一緒にやりたいと思ってくださる奇特な方がいらっしゃればご連絡を。まずはスタジオ@仕事中!メールフォームから)
 実際の体制等、何にも具体的なものはありませんが、デモ&テストで将来性を感じていただければ幸甚に存じます。

 実際に回してみると、エラー対応等が思うようにいかないかも…なんて、ユーザ様に甘えてばかりでご批判もお有りかとは存じますが、まずは温かく御見守りくださいますようお願い申し上げます。

 謝りついでに、もうひとつ。今このシステムを回しているサーバは、かなりケチった奴で、(予算の都合で。サーバ会社のせいではなく。)もし、万が一、あろうことか高負荷がかかる状態になった場合、早々にサービスを停止しなくてはならないかもしれません。そうなると、しばらく再開できないかもしれません。故意に負荷かけたりアタックかけたりは、他サイトにも迷惑なので絶対やらないでください。

 え?携帯対応?いや、それがし、携帯でインターネットを見たりはしないでござるよ?(汗)(というより携帯サイトを使えないに等しい。ポータルから先に進めないのは何故?)…ま、携帯対応はいずれやらない訳にはいきますまい。